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6.遺言の種類(3)~公正証書遺言~

  • 所長
  • 2025年6月25日
  • 読了時間: 5分

更新日:2025年8月27日

(3)   公正証書遺言


 公正証書遺言とは、公証役場で作成する遺言です。

 といっても、作成日にいきなり公証人と話し合って内容を決めるわけではなく、前もって公証人との打ち合わせ(電話やメールなど)を重ねながら文面を修正していきます。

 作成日までに遺言書の内容はほぼ仕上がっていますので、作成日当日は形式的な確認や署名などをするだけになります。


 作成日当日は、遺言者本人が公証役場に出向きます(本人の代わりとして代理人が行くことはできません。ただし、本人が入院していて出向くことができないときなどは、手数料を通常より多めに払う必要がありますが、公証人が入院先にやってきて作成することもできます。)。

 そして遺言者・公証人・2人以上の証人(民法では「2人以上」とされていますが、実務では証人は「2人」に限定されていて、3人以上ということはないようです)の立会いのもと、公証人が簡単な事項を遺言者に質問したり遺言書を読み上げたりして文面に間違いがないことを確認した後、署名や押印をして作成完了となります。

 支払等全てを終えて公証役場から出るまで、早い方なら20分もかからないかもしれません。


 では、公正証書遺言の特徴も含めて、メリット・デメリットを見ていきます。



  〇メリット


①   遺言が無効になる可能性が低い

 

 遺言を書く目的は、自分の死後に、遺言書に記載したことがしっかりと実現されることです。そのためには有効な遺言を作成する必要があり、遺言が無効になってしまっては、自分が生前希望したことが実現されず、作成に費やした時間や労力も無駄になってしまいます。

 公正証書遺言では、作成日までに公証人と打ち合わせをするため、無効な内容や間違った内容であっても、公証人が正してくれます(公正証書遺言は、遺言書の最後に公証人が筆ペンのようなもので署名する、まさに公証人のお墨付きの文書(※)なので、公証人もそれが無効とならないようにしっかりと内容を確認します)。

 (※)遺言の内容について、公証人は有効であると判断したとしても、訴訟になった場合、裁判官は無効と判断するケースはあり得ます。つまり、公正証書遺言はほぼほぼ有効ではありますが、100%絶対に有効であるとは言い切れません。

 

 また、公正証書遺言の作成を私たち行政書士などの専門家がお手伝いさせていただくこともあります。その場合には私たちのチェックも入りますので、より有効性が高くなるといえます。

 

②   自筆する必要がない

 

 公正証書遺言は、作成日までに打ち合わせた文面を公証役場で印刷したものが原本になります。よって、遺言者が自筆する必要はありません。

 前回のブログで書いたように、自筆証書遺言であれば財産目録以外の部分は全文自筆で書かなければならないため、財産の金額自体はそんなになくても、多くの人に配分する内容の遺言書を作成したいときは、公正証書による方が良いでしょう。

 また、字が書けない人、字が上手じゃないから自筆で書きたくないと思っている人なども、公正証書遺言によって作成すれば問題は解決されます。

 

③   紛失や偽造のおそれがない

 

 公正証書作成日当日、遺言者は公正証書遺言の正本や謄本をもらいますが、これは原本ではありません。

 原本は公証役場で保管される(※)ため、紛失することもありませんし、偽造や変造されるおそれもありません。

 (※)ちなみに、原本は遺言者の死後50年、遺言書作成後140年、遺言者の生後170年のいずれかの期間保管されますので、「何十年も前に作った遺言の原本は、破棄されずにまだ残っているだろうか?」という心配は無用です。絶対に残ってます。

 また、公証役場の火災で原本が燃えて無くなってしまったとしても、遺言書はデータとしても保存されていますので安心です。

 

④   検認の必要がない

 

 公正証書遺言は前述のように、偽造などのおそれがないため、検認(前回のブログ(2)自筆証書遺言参照)をする必要がありません。

 


  ×デメリット


①   費用がかかる

 

 公証役場を通して作成するため、自筆証書遺言よりも費用がかかります。

 まず、公証人に手数料を支払わなければなりません。

 遺言書に記載する財産の金額によって手数料が変わりますが、どんなに財産が少なくとも数千円で作成することはできません。

 例えば遺言書に記載する財産額が1000万円だったとしたら、約30,000円の手数料がかかってきます。

 

 それに加えて、公正証書遺言においては証人2人の立会いが必要となります。

 証人は知人や親族にお願いすることもできますが、証人となる者は限定されており、遺言者が亡くなったときに相続人となる者(推定相続人)や、その遺言で財産を受ける者(受遺者)などは証人となれません。

 お願いできるような知人や親族がいない場合は公証役場で手配をお願いすることができますが、証人の日当を支払わなければなりません。

 

 また、これは自筆遺言証書の場合もそうですが、作成を専門家に任せた場合は、報酬も支払わなければなりませんので、これらに公証人手数料を加えるとかなりの金額になることもあります。

 

②    書類の収集が必須になる

 

 戸籍謄本、固定資産税の納税通知書等、登記事項証明書、預貯金の通帳のコピーなどが公正証書遺言を作成する際の必要書類です。

 そのうち、戸籍謄本は遺言者と相続人との続柄が分かるものである必要があるため、相続人が甥や姪などの場合には取得するのが大変な場合もあります。

 

 自筆証書遺言の場合にはこれらの書類は必要というわけではありませんが、公正証書遺言の場合は必須となります。

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