5.遺言の種類(2)~自筆証書遺言~
- 所長
- 2025年6月19日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年8月27日
(2) 自筆証書遺言
自筆証書遺言は、文字どおり自分で手書きした遺言です。
原則全文手書きですが、財産目録(財産の一覧表のようなもの)のみ、自筆でなくパソコンで作成したり、通帳のコピーを添付して銀行口座を特定したりすることなども可能です(ただし、自筆しなかった財産目録のすべてのページに署名押印が必要)。
全文自筆というのもなかなかの手間ですが、それ以外にも細かい規定があります。
ここからは、公正証書遺言と比較したときのメリット・デメリットを見ていきます。
〇メリット
① 費用がかからない
自筆証書遺言の最大のメリットは費用がかからないということです。
公正証書遺言を作成するには公証人に支払う手数料に加えて、もし専門家に作成をお願いするならその報酬も必要になってきますが、自筆証書遺言であれば、ペンと紙と印鑑があればそれ以外の費用はかかりません。
修正するときも、自分で書き換えればいいだけなので、全く費用はかかりません。
次回以降のブログで書きますが、2020年より遺言書保管制度が始まって、自筆証書遺言を保管所に預けることができるようになりましたが、その制度を使ったとしても3,900円の手数料しかかかりません。
② 気軽に作成できる
遺言書は、一度作成したら亡くなるまで内容を変更できなくなるわけではありません。ご自身が亡くなるまでに様々な事情が発生するでしょうから、それに合わせて遺言書を書き換えることができます。
公正証書遺言であれば、作成した遺言の内容を変更するのにも手数料がかかるため、一旦作成しておこう、と気軽に考えることはできませんが、自筆証書遺言であればご自身の好きなタイミングで、とりあえず作成しておこう、ということも気軽にできます。
×デメリット
① 面倒くさい
遺言書を作成するのには厳格な決まりがあります。前述のように、財産目録以外の部分は全文自筆しなければなりませんし、日付や押印のないものは無効です。しかも、書き間違ったときに訂正する場合も、「〇〇の部分、〇字追加」などと書き、名前を書かなければいけないなどの決まりがあります。
先ほどメリット②で「気軽に作成できる」と書きましたが、一方で、有効な遺言書を作成するにはこのような決まりを守らないといけないので、面倒くさいと思われる方も多いと思います。
② 無効と判断されるリスクがある
デメリット①にも書いたとおり、遺言書を有効なものにするためには様々な決まりを守る必要がありますが、遺言書を書くことに慣れている人なんて、専門家以外にはほとんどいないでしょうから、特に誰とも相談せず、自筆証書遺言を作成する場合は無効になってしまうリスクが高いといえます。
一方、公正証書遺言においては公証人が遺言書の作成にかかわるので、無効と判断される可能性はほとんどありません。
それに加えて、作成を行政書士などの専門家に依頼した場合は、さらに遺言書の有効性が高まります。
③ 紛失や改ざん・破棄のおそれがある
公正証書遺言の原本は公証役場において保管されますので紛失のおそれがない一方、自筆証書遺言については自分で厳重に保管をしたり、相続人などに保管をお願いしたり、とにかく紛失のおそれがないようにしておく必要があります(自筆証書遺言を遺言書保管所に預けることができる制度が2020年より始まりました。これについては次回以降のブログで書きます)。
また、自宅などに保管していると改ざんされたり、破棄されたりしてしまう可能性が出てきてしまいます。
もちろん遺言書の偽造や破棄は、刑事上の責任として私文書偽造や私用文書毀棄の罪で罰せられますし、偽造や破棄した者が相続人であるなら民事上の責任として相続人の権利を失うなど、様々な責任を問われますが、遺言者が亡くなったときに見つかった遺言書が改ざんされたものであることが証明できない場合もありますし、特に破棄された場合などは、本当は遺言書があったことを証明するのは難しいケースも多いでしょう。
④ 検認の必要がある
検認とは、遺言者が亡くなった場合に、家庭裁判所において相続人の立会いの下に遺言書を開封して、内容を確認することをいいます。
遺言書を発見した場合、相続人は家庭裁判所に検認の請求をしなければなりません。
遺言者が亡くなった後の手続きなので本人には関係ありませんが、相続人の手間がかかります。
なお、検認は遺言書の偽造や変造を防止する手続きであり、検認をしたからといって、その遺言書が有効であると認められるわけではありません。検認をしたとしても、法律に従っていない方式の遺言書は無効のままです。
